インフレ時代の賃貸経営は利益率改善のチャンス

インフレの影響により、賃貸経営の収益構造が大きく変わり始めています。

人件費や資材価格の高騰により近年、原状回復費や修繕費は大きく上昇しています。

さらに、イランなど中東情勢の緊迫化による原油価格の上昇も、建築資材や設備機器の価格上昇に拍車をかけました。

中東情勢が落ち着いても「一度上昇した価格は以前の水準まで戻りにくい」との見方もあります。

コスト上昇は一時的なものではなく、「長期化する可能性が高い」と指摘する専門家も少なくありません。

しかし、市場環境に合わせて、支出を上手く抑えながら家賃を適正化できれば、利益率を高めることは可能です。

見方を変えれば、入居者が家賃見直しを受け入れやすい今のインフレ環境は、賃貸経営の体質を強化する絶好のチャンスともいえます。

今回は、賃貸経営の支出を抑えながら、長期的に利益率を高めるための具体的な方法を解説します。

原状回復費はコーティングや塗装で費用を圧縮する

コスト削減で最も即効性があるのが原状回復工事でしょう。

1回あたりの金額が大きいため、特に1棟物件や複数の物件を所有しているオーナー様の場合、年間で大きな差になります。

原状回復費を抑えるコツは、全ての物件を一律の基準で工事しないことです。

たとえば、築古・低家賃帯の物件では、全ての箇所を完璧に修繕する必要はありません。

入居希望者が気にするポイントに絞って対応するだけで、契約がスムーズに決まるケースもあります。

具体的には次のような項目です。

・水回り(キッチン・浴室・トイレ)の清潔感

・カビや結露の跡がないか

・エアコンが正常に使えるか

・給湯器が問題なく動作するか

・排水口や室内の臭い

一方で、築浅で高家賃帯の物件では、原状回復に費用をしっかりかけた方が良いこともあります。

第一印象が重要なため、中途半端な補修を行うよりも、室内をきれいな状態に整えて早期成約を目指した方が、結果として収益面でプラスになるケースもあります。

オーナー様を悩ませる支出の一つが、大型設備の入れ替えです。

たとえばユニットバスは、本体交換と工事費を含めると40万円以上かかるケースも珍しくありません。

そこで注目されているのがユニットバスコーティングです。

交換せずに表面を再生することで、費用を半分程度に抑えられます。

浴室の輝きがよみがえり、工期も1日程度で済むのがメリットです。

また、クロスについては、入居期間が短期で状態が良好であれば、必ずしも全面張り替えが必要とは限りません。

部分補修やクリーニングで対応できるケースもあります。

最近では、クロスを張り替えるのではなく、塗装で再生する方法が広がっています。

張り替えと比べて費用を半分程度に抑えられ、原状回復費の削減につながります。

修繕は壊れてからではなく、壊れる前にするのが基本

修繕費を抑えるコツは、建物や設備にこまめに手を入れ、トラブルを未然に防ぐ「予防保全」です。

「まだ使えそうだから」「それほど目立たないから」と放置すると、かえって高額な工事につながります。

【設備のケース(例:給湯器)】

不具合が出た段階で早めに対応すれば、部品交換や簡単な修理(数千円〜数万円)で済むケースがあります。

しかし、そのまま使い続けた結果、本体ごとの交換(十数万円〜)が必要になることも少なくありません。

【建物のケース(例:雨漏り・外壁)】

腐食や雨漏りを放置すると、構造体にまで被害が及び、当初は一部の部材交換で済んだものが大規模な修繕工事へと発展してしまいます。

定期的な点検と小規模なメンテナンスを繰り返すことで、大掛かりな工事の時期を先延ばしにし、建物の寿命を延ばすことができます。

特に以下のポイントは定期的なチェックが必要です。

共用部の水道光熱費はLED+αの施策で削減する

共用部の水道光熱費は毎月積み重なる支出だからこそ、わずかな削減でも年間で見ると大きなコスト削減効果が期待できます。

LED照明への切り替え(消費電力や交換頻度の削減)はもちろん、以下の対策を組み合わせることで、さらにコスト削減効果が期待できます。

【センサー照明の導入】

人が通るときだけ点灯するため、無駄な電気代を削減できます。

【点灯時間の見直し】

タイマーを活用し、利用頻度の低い深夜帯などの点灯時間を最適化します。

また、意外と見落とされがちなのが電力契約の見直しです。

長期間にわたって契約内容を見直していない場合は、複数の電力会社や料金プランを比較してみましょう。

最近では、ガソリン代の割引やポイント・マイルの付与などの特典が付くサービスもあります。

こうしたサービスに切り替えることで、経営全体のコスト削減につながるケースも少なくありません。

価格だけで業者や部材を選ぶとコスト増になることもある

原状回復工事や修繕工事でコスト削減を意識すると、つい「最安値の見積もり」を出す業者や安価な部材を選びたくなります。

しかし、価格だけで判断するのは危険です。

賃貸経営で大切なことは、目先の「工事費の抑制」ではなく、長期的な「トータルコストの抑制」です。

極端に安い工事は、施工品質が低く再工事が必要になったり、追加費用を請求されたりするリスクがあります。

オーナー様ご自身で工事会社に発注される場合は、価格に加えて以下の点を確認してください。

・賃貸物件の施工実績が豊富か

・会社の規模や資本金、許認可などが確かか

・見積もりの内訳が明確で、不透明な項目がないか

・アフターフォローが充実しているか

インフレ時代の賃貸経営では、経費削減と収益改善の両立が重要です。

出費を抑えながら収益性を高めたいオーナー様は、ぜひ一度、当社までご相談ください。

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安土 珠里
安土 珠里