エアコンや照明、給湯器、消火器の省エネ基準が強化

「設備は壊れてから交換すればよい」。

これまでの賃貸経営では、こうした考え方が一般的でした。

しかし今、その前提は通用しなくなりつつあります。

2027年前後を境に、下記の設備の省エネ基準や環境規制が相次いで強化されます。

・エアコン

・照明(蛍光灯)

・給湯器

・消火器

これにより、設備の仕様そのものが見直されるだけでなく、製品価格の上昇や従来型機種の在庫不足といった変化が生じる可能性があります。

さらに重要なのは、こうした変化が設備更新の問題にとどまらない点です。

省エネ性能が入居者の部屋選びにも影響を与え始めており、今後は物件の評価軸そのものが変わっていく可能性があります。

本記事では、2027年前後に起こる設備環境の変化を整理するとともに賃貸オーナーが今から取るべき対応について解説します。

エアコン:本体価格が2027年以降、上昇の流れ

もし、エアコンの交換時期が近いなら、2026年内の実施が賢明かもしれません。

なぜなら、2027年度以降は本体価格が上昇する可能性があるためです。

その背景にあるのが、いわゆる「エアコンの2027年問題」です。

2027年度から、家庭用エアコンの省エネ基準が厳格化されます。

経済産業省は、現行比最大34.7%(壁掛形4.0kW)の効率改善を求めています。

基準を満たすためには製品の高機能化が不可避となり、その分、製造コストの増加が見込まれます。

これにより、2027年以降は安価な旧モデルの在庫が減少し、交換費用が上昇する可能性があります。

また、ダイキンの公式サイトによると、エアコンの寿命は約10年とされています。

これを超えると、故障時に部品が入手できず、修理が困難になるケースも想定されます。

真夏や真冬に故障した場合、交換までに時間を要し、入居者の不満につながりかねません。

こうした事情を踏まえると、所有物件のエアコンが設置から10年前後経過している場合は、早めの交換を検討することを推奨します。

照明器具:蛍光灯の製造が2027年末までに終了

共用スペースで蛍光灯を使用している賃貸物件も、まだあるのではないでしょうか。

現在でも蛍光灯は値上がり傾向ですが、2028年以降は供給が減少し、価格が上昇する可能性があります。

長期的な管理コストを考慮すると、2026〜2027年のタイミングでLED照明への切り替えがおすすめです。

値上がりの背景には、蛍光灯に微量に含まれている物質「水銀」の問題があります。

これを規制する「水銀に関する水俣条約」により、蛍光灯は2027年末までに製造が終了します。

この影響を受けて、2028年以降は蛍光灯の在庫が減少し、価格が上昇する可能性があります。

さらに時間が経過すると、入手自体が困難になる可能性もあります。

一方、LED照明は蛍光灯に比べて消費電力が約半分で済み、寿命も約7倍とされています。

長期的に見れば、交換の手間が少なく、トータルコストの削減にもつながります。

この機会に切り替えを検討するのが得策といえるでしょう。

ただし、初期費用がかかる点には注意が必要です。

LED照明への交換方法はいくつかありますが、天井などに直接固定されている直管形の場合は、専門業者による電気工事が必要になります。

給湯器(ガス温水機器):2028年以降は高効率タイプが主流

給湯器についても、今後は省エネ基準の強化に伴い、高効率モデルが標準となる流れです。

資源エネルギー庁は、製造事業者などに対し、2028年度に向けて、エネルギー消費性能の向上(機種区分ごとに数%程度)を求めています。

対象となるのは、ガス給湯器やふろ給湯器、暖房機能付き給湯器などのガス温水機器です。

こうした基準強化を背景に、今後はエコジョーズに代表される高効率給湯器へのシフトが進むと見込まれます。

従来型に比べて初期費用は高くなる傾向もありますが、ガス使用量の削減によって、入居者満足度は高まります。

一方で、省エネ性能の向上に伴う製品価格の上昇や、従来型機種の選択肢の縮小も想定されます。

交換時期が近い賃貸物件については、コストを抑える観点から、2026~2027年中の更新が有効な選択肢といえるでしょう。

消火器:PFAS(有機フッ素化合物)に関する規制が強化

消火器についても、環境規制の高まりを背景に、PFAS(有機フッ素化合物)を含む製品からの切り替えが進んでいます。

PFASは分解されにくく、環境中に長期間残留することから、「永遠の化学物質」とも呼ばれています。

欧州連合(EU)では、PFASの段階的な規制強化が進められており、今後も各国で対応が広がる可能性があります。

この国際的な規制の流れを受け、PFASを含む消火器については、メーカー各社で代替製品への移行が進みつつあります。

製品を選定する際は業者任せにしないで、オーナー様側でも消火器の仕様や能力をチェックすると安心です。

賃貸住宅が入居者から省エネ性能で選ばれる時代へ

ここまで見てきたように、賃貸住宅の設備を取り巻く環境は大きく変化しています。

加えて、入居者の部屋選びにおいても、環境性能や省エネ性能を重視する傾向が強まりつつあります。

今後は、省エネ性能の低い物件は、不動産ポータル上で相対的に選ばれにくくなる可能性があります。

例えば、SUUMOでは、2024年11月以降、新築に加えて既存(中古)の売買・賃貸物件でも、省エネ性能の表示枠が設けられました。

本稿執筆時点では、これらの情報が表示されている物件はまだ限定的です。

しかし、国の制度では環境性能の「見える化」が着実に進んでいます。

例えば、2025年4月以降は、すべての新築建築物に省エネ基準への適合が義務化され、政府は2030年までに新築住宅の平均でZEH水準の達成を目標としています。

これにより、新築物件では断熱性能などの条件で比較・検索する動きが、今後一般化していく流れが強まると予想されます。

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安土 珠里
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